一昨年に上演された秀作「スカーレット ピンパーネル」新人公演で鮮烈な主演ぶりをみせた紅ゆずる。飛んできた速球をフルスウィングで打ち返し、見事場外ホームランを見せてくれたような舞台だった。若きエースは今、星組の戦力として確実に彩度を上げている。
端麗かつ清々しい個性で、早くから目を惹く男役だった。役作りに関してもこだわりの人。たとえひと場面だけの役でも、「この人物はただもんじゃない!」と思わせるスパイスをふってきた。宝塚の舞台に立つことを心から楽しんできた紅の男役デイズ。そこに特大の衝撃が走る。初舞台から7年目、「スカーレット ピンパーネル」新人公演で主演、の報・。それまで、出会った役をとことん追求してきたものの、通し役の経験は少なく「本公演でソロを歌ったこともなければ、銀橋もひとりで渡ったこともなかった」。主役抜擢は「予想外のことすぎて、自分が舞台でどうなるかすら想像つかない状態でした」。(・・・続きは5月号誌面へ)
くれない・ゆずる
8月17日生まれ、大阪市出身。2002年「プラハの春」で初舞台後、星組に配属。08年バウ・ワークショップ『ANNA KARENINA』カレーニンで初の通し役を経験。08年、新人公演ラストとなった「スカーレット ピンパーネル」で初主演。挑戦したい役は「エリザベート」トートや、初めて大劇場で観た宝塚作品「仮面のロマネスク」主人公・ヴァルモン子爵のような魅力ある悪役。